***天然の黒の宝石って、なかなかないのを、ご存じでしたか?***
★一般にデザイナーさんが作品に黒を使うときはブラックカルセドニーを使うことが多いですが、市場にあるブラックカルセドニー(オニキス)は、当社で使うものも含め、100%染色といっていいでしょう。(ブラックカルセドニーは昔はオニキスと呼ばれていました。オニキスはメノウという意味なので、黒とは限りません。ブラックカルセドニーは「黒い色の縞目のないメノウ」を意味するので、こちらが近年は採用されています。)
メノウはかなり昔から「染めやすく、染めた状態も比較的安定している」ことで知られ、 染めた色とともに「天然石」として受け入れらてきました。ですから店頭にある多くのメノウは染められています。
★ジェットと呼ばれる素材もブラックフォーマル用のネックレスなどに人気ですが、ジェットは石炭のように植物が化石化したもので、結晶が成長してできた鉱物ではありません。
★トルマリンにもブラックがありますが、黒の宝石として認知されるほど量が出回っていないせいか、黒の宝石として一般的ではありません。個人的には濃〜い緑のような印象です。
★ブラックダイヤは天然の黒も存在すると思いますが、一般に手にするものは値段に関係なく色は処理されていると考えてさしつかえないです。(熱処理と着色。)
入手可能な天然の黒の原石はないのか、とあきらめていたところに出会ったのがブラックスピネルです。
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***ブラックスピネルは天然の黒い宝石です ***
鉱山が閉山したり、新しくみつかったり、ということはたま〜にあるのですが、 ブラックスピネルも 2005年以降だと思いますが、急にみかけるようになりました。 鑑別に出したところ、スピネルと出て、「やっと出会えた宝石の黒!」と思いました。
スピネルは、ルビーよりも希少と言われるレッド・スピネルが有名です。イギリス王室の王冠を飾っています。 それの黒ですから、業界人としては、イメージはいいです。
硬度は約 8。 ダイヤ、エメラルド、ルビー、サファイヤと代表的な高額宝石は硬度8以上の硬い宝石が多いので、ブラックスピネルの硬さも、なんとなくジュエリー本格派向きの気がします。 硬質な光の反射がシャープでクールな輝きとなります。
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***ブラックスピネルは加工が難しく、大粒が取りにくい***
★硬い宝石であることや、石の性質上、加工が難しく、大粒が取りにくいので、工場ではブラックスピネルのカットは他の石に比べて1.5倍から2倍の時間がかかります。生産期間も工賃も多くかかる素材です。
原石は大きいものが少なく、小粒が多いのが特徴で、大粒を使う製品の場合は、かなりの原石を持っていないとできませんし、コストもかかってきます。
それでも、綺麗なカットがキラキラと映える素材なので、輝きが華やかなカットをほどこすと、一層魅力が活きてきます。 それだけに カットの美しさとボリューム感 にこだわりたい石です。
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***処理なし、天然のままのブラックスピネルです***
★ブラックスピネルに現在ほどこされることのある処理としては含浸処理があります。 ヒビや割れ目をふさいで目立たなくするために、樹脂やワックスなどをしみこませます。 大きい粒ほど、そういう可能性はあります。
当社のブラックスピネルは、一切人工的な処理をほどこしていない、天然のままの原石に、カットと磨きだけほどこしたものです。
最後にもう一つ情報を。 ブラックスピネルの鉱山は、ブラックスピネルの範疇にはいらない、他の黒い天然石が、ブラックスピネルと同時に産出されることがあるのです。大量に鑑別に出してみてわかったことです。 そのもう一つの天然の黒にも興味がありますが、硬度も違えば宝石業界の中での価値や知名度も違うとなれば、ここはなんとかはじくしかありません。 そこで当社では検品の困難な小さい石は使わず、ある程度以上の大きさのみ使うことにしました。 だから当社の製品に使われているブラックスピネルは、一番小さいサイズのものでもブラックスピネルとしては存在感のあるサイズ、 ということになった訳です。 (ただしマシンカットと呼ばれる超小粒サイズのプラックスぴネルは、当社が原石から管理したものではなく、カットされた状態で仕入れ、小さすぎて通常の方法では鑑別が難しいため、すべてブラックスピネルかどうかの検品は当社ではしていません。) |
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